ー 骨盤矯正の真実

骨盤矯正と聞くと腰痛治療に限らず、ダイエットや産後に行うイメージがあると思います。

まだこの業界に入りたての頃の私は実際の骨盤矯正を見て「スゲー！」「かっこいい」と思い、骨盤矯正を極めたい想いから骨盤に関する教科書を購入したり様々な講習を受けたりしていました。

解剖学的、医学的には仙腸関節は動かない関節とされています。

一方で２～４mmは動くとも言われています。

実際にこの業界では骨盤は動く動かない問題は常に討論され、本当の意味で真相は分かりません。

ちなみに骨盤の歪みと一般的にいわれているのは仙腸関節という部分です。

この仙腸関節という部分が開いたり閉じたり、捻じれたりすると言われているわけです。

当時、骨盤矯正を極めたい若かりし私は１日中骨盤の事ばかり考えている人間でした。

「骨盤が歪んでますねー」とお決まりのセリフを何百回言った事か．．．。

しかし、ある時解剖書を見ていて、ふと思ったのです。

骨盤って、構造的に開かないよね？

さらに言うと、仮に開いたり捻じれがあったとして手で戻したとしても歩いたら即戻るよね？と。

そもそも床反力と重力が仙腸関節にかかる為、強靭な靭帯群が仙腸関節を補強しているのにも関わらず手で歪みを治したところで歪みは安定するのか？

当時周りにいる人に聞いてもぼやけた回答で、自分より１０年以上業界歴が長い同僚は施術中に軽く仙腸関節に手を当てながら

「１mm単位でズレを治してます。」

「今カチッとハマったの分かりました？」

など得意げな顔。

もはや言ったもん勝ちの何でもありなカオス状態。

患者さんも「ミリ単位で修正できるって凄い！」と目を輝かせていました。

というのも、巷で行われている骨盤矯正は仙腸関節を触って「これで骨盤が整いました！」「足の長さそろいましたね！」「骨盤が閉じてきましたね！」といったことを言っていますが、本当のところは仙腸関節は骨盤全体の１％しか動きません。

仙腸関節１％、恥骨結合１％、股関節が９８％担っています。

なので骨盤の歪みを整えるとなると、むしろ股関節が非常に重要になるのです。

D.C.（カイロドクター）の先生によると仙腸関節は動きますが、仙腸関節の特殊な手技をして腰痛が治るとか、仙腸関節を動かさないといけない風潮はない。そうです。

さらに「動いても動かなくてもどっちでもいいと思ってます。」とおしゃられていました。

仙腸関節が動く動かないは別にして関節神経学的に仙腸関節には受容器（センサー）が多く、何かしら刺激を入れると反応します。（この神経学的な話は専門性が高くなるので今回は省きます。）

私自身実際のご検体で確認させていただいた事があるのですが、仙腸関節には強靭な靭帯が張り巡らされてとても歪むようには思えませんでした。

骨盤の歪みを正しく表現するとすれば、骨盤全体を１つのユニットと考え、骨盤の傾きが変わったと考えると腑に落ちやすいかと思います。

例えばよくあるのが反り腰だったり、受け腰だったり、もしくは私たちは腰周りの筋肉を使って腰（骨盤）を回せるように普段のカラダの癖により右回旋や左回旋に傾くことがあります。

なので本当の意味で骨盤の歪みを整える、体の歪みを整えるとなると股関節が１つポイントになりますし、骨盤だけにフォーカスせず、身体全体のバランスを整えるということが必要になってきます。

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